2026.10.24

開閉センサーの見守りは賃貸の高齢入居者に使えるか|ドアに付ける前に貸す側が確かめることと、知らせが届く相手

約3,000文字読了目安 6分

「母の部屋のトイレのドアにセンサーを付けたいのですが、いいですか」——単身の高齢者に部屋を貸していると、家族からこうした相談を受けることがあります。では、大家・管理会社は、ドアの開閉センサーを入居者の見守りとして当てにしてよいのでしょうか。本記事では、貸す側が確かめることを整理します。

開閉センサーの見守りとは|ドアが一定時間開かないことを「異変」とみなす

開閉センサーは、ドアや扉に取り付け、開いた・閉じたを検知する小さな機器です。見守りに使う場合は、トイレなど毎日使う場所のドアが、一定時間開け閉めされないことを異変の目安にします。

賃貸の部屋で使われる開閉センサーは、大きく2つに分かれます。

自治体の開閉センサー|知らせは警備会社へ、鍵も預ける

たとえば新宿区は、令和5年4月1日から、高齢者緊急通報システムにドアの開閉センサー(見守りセンサー)を加えています。開閉センサーが一定時間、利用者の動きなどを感知しなかった場合、警備会社から確認の電話が入り、電話がつながらないときは警備会社・救急車などが出動します[1]。

貸す側が知っておきたいのは次の2点です。

なお練馬区は、区の住まい確保支援事業を使う高齢者世帯について、対象要件に当たらない場合でも緊急通報システムや生活リズムセンサーを使えるとしています[2]。条件は自治体ごとに違うので、緊急通報システムの対象条件の記事もあわせてご覧ください。

家族が市販の開閉センサーを付けるとき|貼り方と退去時の扱い

市販の開閉センサーの多くは、ドア枠と扉に両面テープで貼る小さな機器です。工事は要りませんが、貸す側は退去時の扱いを先に決めておくと、後のもめごとを防げます。

民法621条は、借主は通常の使用による損耗と経年変化を除く損傷を、契約の終了時に原状に戻す義務を負うと定めています[3]。国土交通省のガイドラインは、画鋲・ピンなどの穴(下地ボードの張替えが不要な程度)を通常の損耗の例とし、重量物をかけるためのくぎ穴・ネジ穴(下地ボードの張替えが必要な程度)は通常の損耗を超えると判断されることが多いとしています[4]。

機器を付けるときの承諾の考え方は見守りカメラの設置の記事で、補修費の考え方は原状回復と経年変化の記事で整理しています。

知らせは大家・管理会社には届かない

貸す側にとって大事なのは、知らせが誰に届くのかです。自治体の開閉センサーの知らせは、まず警備会社や受信センターに届きます[1]。市販の開閉センサーの通知は、アプリに登録した家族などに届きます。どちらも、大家・管理会社には何も届かないのが普通です。

一方で、知らせを受けた家族が遠方にいて動けないときは、「部屋を見てもらえませんか」と管理会社に電話が来ることがあります。合鍵で入るか、誰が立ち会うかを先に決めておかないと、その場で迷います。室内に入る前の手順は安否確認の立ち入りの記事に、依頼を受けたときの対応は管理会社への安否確認の依頼の記事にまとめています。

開閉センサーで気づきにくい場面

開閉センサーは、決まったドアを使う暮らしの変化を伝える仕組みです。次のような場面では、異変に気づきにくくなります。

冬の浴室の事故は冬の孤独死の記事で扱っています。

貸す側は、開閉センサーとどう組み合わせるか

開閉センサーは止めずに、次の順で備えを組み合わせます。

  1. 付ける前に、場所・貼り方・退去時の扱いを聞く——承諾した内容を書面に残す。
  2. 知らせを受ける人と、その人が動けないときの連絡先を聞く——管理会社のどの窓口に電話すればよいかを伝えておく。自治体型なら、鍵を預けた事業者も控える。
  3. 貸す側にも知らせが届く仕組みを、入居時に組み込む——ドア1か所ではなく、部屋全体の暮らしの様子で異変に気づける見守りを用意する。

R65が提供している見守りは、部屋全体の電気の使い方の変化で暮らしの異変に気づく方式で、センサーを貼る必要がなく、照明や冷蔵庫などを含む部屋全体の電気の使い方を捉えます。ただし、普段との比較で判断するため知らせまでに時間差があり、亡くなること自体を防ぐものではありません(見守りサービスのデメリットの記事)。仕組みはドアにセンサーを貼らずに使える、電気データの見守りの紹介ページで確認できます。照明1か所で見る方式との違いは見守り電球の記事で扱っています。

まとめ|開閉センサーは「ドアを使う暮らし」の見守り

  1. 開閉センサーは、ドアが一定時間開かないことを異変とみなす仕組み——自治体型と市販型がある
  2. 自治体型は警備会社に知らせが届き、鍵も預ける——使えるのは条件に合う人だけ[1][2]
  3. 市販型は両面テープで貼るものが多い——ネジ留めはネジ穴の扱いに近づく。退去時の扱いを書面に残す[4]
  4. 知らせは大家・管理会社には届かないのが普通——家族が動けないときの連絡と立ち入りを決めておく
  5. センサーのない場所・開けたままのドアでは気づきにくい——貸す側の備えは別に持つ

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