2026.10.07

見守りサービスのデメリットを貸す側から見る|防げないこと・気づけない時間と、誤報・同意・退去時に残るもの

約2,200文字読了目安 4分

単身の高齢入居者に見守りサービスを勧めるか、物件に導入するかを考えるとき、メリットの説明は事業者の資料にいくらでもあります。一方で「入れても防げないこと」「入れたあと貸す側が引き受けること」は、まとまった形で書かれていないことが多いものです。本記事では、見守りサービスのデメリットを賃貸の大家・管理会社の立場で整理します。R65が提供している見守りも方式の一つであり、その限界も含めて書きます。

見守りサービスは異変を防がない|早く気づくための仕組み

最初に押さえたいのは、見守りサービスは転倒や急病そのものを防ぐものではない、という点です。東京消防庁によると、令和6年に救急搬送された65歳以上の事故は98,056人で、このうち「ころぶ」事故が73,500人と8割以上を占めました。「ころぶ」事故の発生場所は住宅等居住場所が42,180人で、最も多いのは居室・寝室(29,783人)です[1]。見守りを入れても、部屋の中で転ぶこと自体は減りません。

見守りが変えられるのは、異変が起きてから気づくまでの時間です。警察庁によると、令和7年中に自宅で亡くなった一人暮らしの65歳以上は5万8,919体で、死亡から発見まで4日以上かかったのは2万4,096体(40.9%)でした[2][3](割合は警察庁の年齢階層別・経過日数別資料から算出)。この「気づくまでの日数」を縮めることが見守りの役割であり、ゼロにできるわけではありません。

入居者や家族に見守りを勧めるときは「付ければ安心」ではなく「異変に早く気づける可能性が上がる」と伝えるのが正確です。転倒の予防は、手すりや段差の解消など住まい側の対策が別に必要です(手すりの後付けは介護保険の住宅改修と貸主の承諾の記事を参照)。

方式ごとに「気づけない時間」がある

見守りの方式は、何をきっかけに異変を知らせるかで分かれます。どの方式にも、仕組み上どうしても気づけない時間や場面があります。主な方式と、その弱点は次のとおりです。

R65が提供している見守りは電力データ型で、上の限界はそのまま当てはまります。そのうえで、新しい機器を部屋に置かず、入居者が毎日何かを操作しなくてよい点を重視する場合に向く方式です。仕組みと向き不向きは電力データで暮らしの変化に気づく見守りの紹介ページで確認できます。自治体の通報ボタンを当てにできない理由は緊急通報システムの記事で整理しています。

導入後に貸す側が負うもの|誤報の確認・本人同意・費用

誤報の確認:応答の忘れ、外出、入院などでも「いつもと違う」という知らせは届きます。知らせを受けて誰が電話をし、誰が部屋を訪ねるかを決めていないと、確認の負担が管理会社の担当者に集まります。決め方は賃貸に見守りサービスを導入するとき最初に決めることの記事にまとめています。

本人の同意:見守りは入居者の暮らしの情報を扱うため、本人が納得していることが前提です。電力データの場合、2020年6月の電気事業法改正を受けて設立された電力データ管理協会が、2023年10月2日から本人の同意を得た個別の電力データの提供を始めました。同意のないデータは提供されません[4]。入居者が同意しなければ、その部屋ではこの方式は使えません。見守りへの加入を入居の条件にするときの線引きは入居条件にできるかの記事を参照してください。

費用:多くのサービスは月々の費用が続きます。大家が負担するのか、入居者が負担するのか、共益費などに含めるのかを決めないまま始めると、更新や入居者の入れ替わりのたびに話が蒸し返されます。

退去・解約のときに残るもの

見落としやすいのが終わり方です。自治体が貸し出す機器は、退去や利用終了のときに返却が必要なものがあります(見守り電球の例は見守り電球の記事)。入居者本人の名義で契約したサービスは、本人が亡くなったり施設に移ったりしたとき、大家の判断では解約できないことがあります。契約の名義・機器の持ち主・解約の連絡先の3つを、導入時に書面で残しておくと退去時の手間が減ります。

まとめ|デメリットを前提に、導入前に決める4つのこと

  1. 何を期待するか——転倒や急病を防ぐのではなく、気づくまでの時間を縮める[1][2]
  2. どの方式の「気づけない時間」を受け入れるか——入居者の暮らし方(電話に出られるか、ネット回線があるか)で選ぶ
  3. 知らせを受けたあと誰が動くか——誤報の確認を誰が担うかまで決める
  4. 同意・費用・終わり方——本人の同意、費用の負担者、退去時の機器と解約先を書面にする

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