賃貸の管理会社に安否確認を頼むとき|親と連絡が取れない家族が電話の前にそろえることと、警察に切り替える場面
賃貸で一人暮らしをしている親に、何度電話してもつながらない。遠方で、すぐには部屋まで行けない——このとき頼れる相手のひとつが、その物件の管理会社です。ただ、管理会社は部屋の合鍵を持っていても、家族から頼まれただけで部屋を開けられるとは限りません。本記事では、依頼する家族の側が先にそろえておくことと、管理会社に任せず警察へ切り替える場面を整理します。
賃貸で親と連絡が取れないとき、管理会社に安否確認は頼める
管理会社や管理員が、家族からの連絡をきっかけに居住者の様子を確かめに行くことはあります。国土交通省のウェブサイトに掲載されている、分譲マンションの管理組合向けの居住者安否確認マニュアルの例でも、孤立死の発見の経緯として「異臭」「新聞・郵便が溜まっている」と並んで「家族、親族が連絡不通」が挙げられています[1]。
同じ例では、異常に気づいた管理員はまずインターホンで呼びかけ、隣家などに様子を聞き、緊急性があるかを判断し、管理会社に指示を仰ぐ順になっています[1]。賃貸でも、管理会社が最初にできるのは部屋の外から確かめることだと考えておくと、電話で何を頼めばよいかが見えてきます。
管理会社に電話する前に、家族がそろえておく6つのこと
管理会社は、電話の相手が本当に家族なのか、どれくらい急ぐべきなのかを短い時間で判断しなければなりません。次の6点を手元にそろえてから電話すると、話が早く進みます。
- 物件名・部屋番号・契約者の氏名——管理会社の連絡先が分からなければ、契約書の写しや建物の掲示で確かめます
- 自分と契約者の続柄——入居時に緊急連絡先として届けているかどうかも
- 最後に連絡がついた日時と、そのときの手段——電話・メッセージ・訪問など
- 持病や服薬、最近の体調——急ぐべきかの判断材料になります
- ほかに当たった連絡先——親族、近所の知人、通っている病院やデイサービスなど
- 自分が部屋まで行けるまでの時間——管理会社の到着を待つか、先に警察へ相談するかを決める目安になります
入居時に届けた緊急連絡先がどこまで役に立つのかは、高齢入居者の緊急連絡先の記事で整理しています。
合鍵があっても、管理会社がすぐ部屋を開けられるとは限らない
国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、貸主は原則として部屋に立ち入ることはできず、管理上特に必要なときにあらかじめ借主の承諾を得て立ち入れる、と整理されています[2]。承諾なしに立ち入れるのは、火災による延焼の防止など緊急の必要がある場合に限られ、不在時に入ったときは後で借主に通知することになっています[2]。
「数日電話に出ない」が緊急の必要に当たるかは、状況によって判断が分かれます。管理会社が慎重になるのはこのためで、家族であっても契約者本人ではない以上、その場で鍵を開けてもらえるとは限りません。大家・管理会社の側がどういう段階を踏んで立ち入りを判断するかは、入居者と連絡が取れないときの立ち入りの記事にまとめています。
また、管理会社が入居者の情報を家族に伝えるのは、個人情報の第三者提供に当たります。本人の同意なしに提供できる場面のひとつが、人の生命・身体・財産の保護に必要で、本人の同意を得ることが難しい場合です[3]。状況を詳しく伝えるほど、管理会社もこの判断をしやすくなります。
命に関わりそうなら、管理会社を待たずに110番
警察庁は、事件や事故に関する緊急通報は110番、緊急でない生活の困りごとの相談は最寄りの警察署か#9110へ、と案内しています[4]。部屋の中で倒れている様子が見える、異臭がする、持病があって数日連絡が取れない——こうした場合は、管理会社の折り返しを待たずに警察へ連絡してください。
警察官は、人の生命や身体に危害が切迫した場合、救助のためにやむを得ないと認めるときは、合理的に必要な限度で建物の中に立ち入ることができると定められています[5]。警察に連絡したことを管理会社にも伝え、鍵を持って立ち会えるかを聞くと、現場での時間が短くなります。部屋にいないと分かったあとの届出の流れは高齢入居者が行方不明になったときの記事を参照してください。
連絡が取れない日数は、発見までの日数になる
警察庁によると、令和7年中に警察が取り扱った遺体のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの人は7万6,941体でした[6]。このうち65歳以上は5万8,919体で、死亡から発見まで4日以上かかったのは2万4,096体(40.9%)でした[7](割合は同資料の数値から算出)。
一人暮らしでは、家族が「おかしい」と気づいて動いた日が、そのまま発見の日になります。「もう1日待ってみる」を繰り返さず、つながらないと感じた時点で管理会社へ電話することが大切です。
次に同じことが起きないように
無事が確認できたら、同じ事態に備えて、管理会社と次の2点を話しておくと安心です。ひとつは緊急連絡先として誰が届けられているか、もうひとつは連絡が取れないとき、どの段階で誰が部屋まで行くかです。
そのうえで、電話に出るかどうかに頼らない仕組みを足す方法があります。電話がつながらない日が続く前に、親の部屋の電気の使われ方で異変に気づく見守りなら、工事や室内カメラを入れずに始められます。
遠方で駆けつけに時間がかかることが一番の不安なら、住まいの距離を縮める選択肢もあります。家族がすぐ駆けつけられる近くで、高齢でも借りられる部屋を探すことも検討してみてください。
まとめ
- 管理会社に安否確認は頼める——ただし最初にできるのは部屋の外からの確認
- 電話の前に6点をそろえる——物件と部屋、続柄、最後の連絡、体調、当たった先、自分の到着時間
- 合鍵があってもすぐには開けられない——承諾なしの立ち入りは緊急の必要がある場合に限られる
- 命に関わりそうなら110番——緊急でない相談は#9110。管理会社には警察へ連絡したことを伝える
- 65歳以上の4割は発見まで4日以上——待つ日数を増やさない