孤独死のあとの電気代・水道代は誰が払うか|契約は自動で止まらない——相続人・後見人・貸す側ができる手続き
単身の高齢入居者が部屋で亡くなった。警察の確認が終わったあと、部屋の電気や水道はそのままになっている——このまま料金がかかり続けるのか、誰が払い、誰が止められるのか。大家・管理会社が迷いやすいところです。本記事では、民法の規定、家庭裁判所の申立書の記載例、自治体の水道手続きの案内をもとに、確かめる順番を整理します。電力会社・ガス会社ごとの細かな手続きは、各社の案内で確認してください。
入居者が亡くなっても、電気・ガス・水道の契約は自動では終わらない
電気・ガス・水道の供給契約は、契約者が亡くなっただけでは終わりません。千葉家庭裁判所が公開している申立書の記載例には、亡くなった方の電気、ガス及び水道の各供給契約は締結されたままの状況にあり、このままでは料金が発生してしまうという事情が、そのまま例として書かれています[2]。
水道では、使っていなくても基本料金がかかる点に注意が要ります。山梨県韮崎市は、水道名義人が亡くなったときの案内で、閉栓(使用中止)の届出がない場合、使用しなくても基本料金が掛かると明記しています[3]。電気・ガスも上の記載例のとおり契約は続いたままになるので、解約の方法は契約先の案内で確かめます。
亡くなったあとの手続きは、警察の確認と遺体の引き取りが終わってからです。それまで部屋には入らず、電気・水道もそのままにしておきます。発見直後に大家がしてはいけないことは孤独死を発見したときの記事で整理しています。
亡くなったあとの電気代・水道代は、相続人が引き継ぐ
民法第896条により、相続人は、相続開始の時から、亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぎます[1]。亡くなる前に使った分の未払い料金も、契約が続いている間の基本料金も、相続人に請求されるのが原則です。
名義だけを変えて使い続ける場合も同じです。大阪府東大阪市の上下水道局は、使用者名義の変更は精算をせずに名義だけを変える手続きなので、前の使用者の使用料金(未納分を含む)を支払うことになると案内しています[4]。
相続人が相続を放棄すると、民法第939条により初めから相続人とならなかったものとみなされます[1]。相続人が全員放棄した場合や、もともと相続人がいない場合は、家庭裁判所が選ぶ相続財産の清算人(民法第952条)が財産を清算する手順になります[1]。家賃の請求先も同じ考え方で分かれるので、亡くなった後の家賃の記事とあわせて確かめておくと整理しやすくなります。
大家・管理会社が代わりに解約してよいか
部屋の電気・水道の契約者は入居者本人で、大家・管理会社は契約の当事者ではありません。解約や名義変更は、相続人に連絡して手続きをしてもらうのが基本です。
生前の入居者を支えていた成年後見人でさえ、自由には解約できません。民法第873条の2は、成年被後見人が亡くなったあと、相続人が相続財産を管理できるようになるまでの間に成年後見人ができる行為を定め、相続財産の保存に必要な行為のうち一部は家庭裁判所の許可を得なければならないとしています[1]。上の記載例は、相続人が入院していて解約できないため、成年後見人が電気・ガス・水道の供給契約を解約する許可を家庭裁判所に求める、という場面のものです[2]。
一方で、水道の閉栓の届出は、使用者や家族以外の人からの申し込みを想定した様式を用意している自治体もあります(韮崎市の閉栓届には、使用者または使用者の家族以外の方が申し込む場合の連絡者欄があります)[3]。扱いは事業者ごとに違うため、相続人の連絡先が分からないときは、契約先に契約者が亡くなったことを伝え、誰がどの手続きをできるかを確かめます。
契約者が亡くなったあとも、部屋の中の家財は相続財産です。残置物の扱いは相続人の意思か清算人の手続きが前提で、片付けの進め方は残置物のモデル契約条項の記事で整理しています。
電気の使い方は、異変に気づく手がかりにもなる
亡くなったあとも電気の契約が続く一方で、部屋の電気の使い方は、入居者の暮らしが止まったことを示す手がかりにもなります。国は2012年(平成24年)5月、孤立死の防止対策として、民間事業者との連携で課題となる個人情報の取扱いについて、電気・ガス等のライフライン事業者などへ再周知する通知を出しています[5]。
警察庁によると、令和7年に自宅で亡くなった一人暮らしの65歳以上は58,919人で、このうち死亡から発見までが4日以上だったのは24,096人、31日以上だったのは4,699人でした[6]。見つかるのが遅いほど、部屋の傷みも、続いている契約の料金も積み上がります。
当社の見守りは、部屋全体の電気の使い方の変化で異変に気づく方式で、室内に機器を付けたり入居者が操作したりする必要がありません。普段との比較で判断するため知らせまでに時間差があり、亡くなることを防ぐものではありませんが、発見までの日数を縮める位置づけです。仕組みは貸す側に異変の知らせが届く、電気データの見守りの紹介ページで確認できます。電気の使用量で見守る方式の考え方はスマートメーター見守りの記事でも解説しています。
まとめ
- 電気・ガス・水道の契約は、契約者の死亡で自動には終わらない——水道は閉栓の届出がないと基本料金がかかる例がある[2][3]
- 料金は相続人が引き継ぐ——名義だけの変更では未納分も引き継ぐ。放棄すれば初めから相続人でなく、相続人がいなければ清算人の手続きになる[1][4]
- 大家・管理会社は契約の当事者ではない——相続人に依頼するのが基本。成年後見人でも解約に家庭裁判所の許可が要る[1][2]
- 相続人が分からないときは、契約先に死亡を伝えて手続きできる人を確かめる——扱いは事業者ごとに違う[3]
- 電気の使い方は異変の手がかりになる——発見が遅いほど損害も料金も積み上がる[5][6]
無料ホワイトペーパー配布中
『高齢入居者受け入れ完全ガイド』:最新統計・3大リスク対策・見守りサービスの選び方を1冊に。
資料を無料ダウンロード電気データで入居者を見守る「らくもり」の仕組みと導入事例は、R65の見守りサービスサイトでご覧いただけます。