2026.11.01

孤独死で家賃保証会社はどこまで払うか|「死亡まで」と「明け渡しまで」、原状回復・残置物は契約で分かれる

約2,800文字読了目安 6分

単身の高齢入居者が部屋で亡くなった。家賃保証会社を付けていたが、亡くなったあとの家賃や部屋の片付けの費用まで払ってもらえるのか——大家・管理会社がまず確かめたいのはここです。本記事では、民法の規定、国土交通省の認定家賃債務保証業者制度、当社(株式会社R65)が国土交通省の補助事業で家賃保証会社3社と行った協議の報告をもとに、確かめる順番を整理します。

入居者が亡くなっても、家賃保証会社の保証はそこで終わるとは限らない

個人の連帯保証人と、法人の家賃保証会社とでは、借主が亡くなったときの扱いが違います。

個人が賃貸借の保証人になる契約(個人根保証契約)は、民法第465条の4により、主たる債務者(借主)が死亡したときに元本が確定します[1]。亡くなった日より後に生じる家賃は、個人の保証人には請求できません。この規定は個人根保証契約についてのもので、法人が保証する家賃債務保証には当てはまりません[1]。

つまり家賃保証会社の保証は、借主の死亡で法律上自動的に切れるわけではなく、どこまで払うかは保証の契約で決まります。保証人が亡くなった場合の扱いは連帯保証人が亡くなったときの記事、相続人への家賃の請求は亡くなった後の家賃の記事で整理しています。

保証の期間は「死亡まで」と「明け渡し完了まで」に分かれる

当社が国土交通省の補助事業(2024年10月〜2025年3月)で家賃保証会社3社と協議した報告では、保証期間を「死亡まで」としている会社もあれば、「死亡後明け渡し完了まで」としている会社もあるため、家賃に関する課題意識が会社によって大きく異なると記録しています[2]。

入居者が亡くなっても、部屋が明け渡されるまで家賃は発生し続けます。「死亡まで」の保証なら、亡くなってから明け渡しまでの家賃は保証の外になり、相続人に請求することになります。同じ報告で不動産会社40社に聞き取りをした結果も、入居者の死亡後、部屋の明け渡しまでが保証の対象となる商品は限られるとしています[2]。

まず保証委託契約書(または保証契約書)の「保証の範囲」「保証の終期」の欄を見ます。借主の死亡を保証の終了事由にしていないか、明け渡しまでの家賃を含むかが分かれ目です。

原状回復・残置物の費用は、保証の対象か契約書で確かめる

家賃以外の費用も会社ごとに違います。同報告は、退去後の残置物処分等も保証の範囲内として家賃保証会社が手続きや費用を担うケースも多いとする一方、大家が行う相続人調査の費用の一部を保証する会社もあれば、保証の対象外にする会社もあると記しています。契約内容が複雑で会社ごとに違うため、大家からはどの保証会社を使えばよいか分かりにくい、というのが協議の所感です[2]。

確かめる項目は次の3つです。

  1. 未払家賃——亡くなってから明け渡しまでを含むか
  2. 原状回復費用——孤独死による汚損の回復を含むか、上限はいくらか
  3. 残置物の撤去・相続人調査——費用を持つか、手続きを代わりに進めるか

保証の外に出た費用を保険で補う考え方は孤独死保険の記事、相続人に損害を請求できるかは損害賠償の記事にまとめています。

相続人が分からないと、保証会社も手続きを進められない

保証が残置物の処分まで含んでいても、すぐに片付くとは限りません。同報告は、相続人等が確認できない場合には業務を進めることができず、残置物処分等が滞る事態が生じていると記録しています[2]。

残置物は相続財産でもあるため、相続人がいれば調査して同意を得てから、相続人がいなければ家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、清算人が処分する——というのが報告の示す適法な手順です。協議では、この手順を踏まずに第三者が残置物を処分しているケースが業界の中で見受けられることも分かりました[2]。保証会社に任せていても、処分の手順が適法かは貸す側も確かめておく必要があります。

認定家賃債務保証業者なら、保証の対象を公示している

2025年10月に始まった認定家賃債務保証業者の制度では、国土交通大臣の認定を受けた保証業者に、緊急連絡先を親族などの個人に限らないこと、保証人の設定を条件にしないこと、要配慮者との契約実績と標準的な契約内容・条件を公表することなどが求められます[3]。

国土交通省のQ&Aは、公示する「標準的な契約の内容」として保証の対象・保証限度額・保証料の範囲などを想定しています[4]。保証会社を選び直すときは、亡くなったあとの家賃・原状回復がどこまで対象かを、公示された内容で比べられます。また認定業者が住宅確保要配慮者の家賃を保証する場合、住宅金融支援機構の家賃債務保証保険の対象に、未払家賃に加えて原状回復費用を含めることができます[3][4]。

同じQ&Aは、居住サポート住宅などで安否確認をしている援助実施者から賃貸人へ、賃貸人から保証業者へ、借主の死亡の事実が知らされることを想定しています[4]。援助実施者がいる場合でも、保証会社へは貸す側から知らせる流れが想定されています。知らせる方法と期限は保証の契約書で確かめておきます。

保証の外に残る損害は、発見までの日数で大きくなる

保証の範囲が広くても、限度額や対象外の費目は残ります。そして孤独死の費用は、見つかるのが遅いほど増えます。同報告で家賃保証会社は、孤独死は発見が遅れるほどに原状回復費用や特殊清掃費用等の多大なコストを要すると課題に挙げ、見守りサービス等の活用を保証の条件にしたり保証商品に組み込んだりするケースも増えてきていると答えています[2]。

当社の見守りは、部屋全体の電気の使い方の変化で異変に気づく方式で、室内に機器を付けたり入居者が操作したりする必要がありません。普段との比較で判断するため知らせまでに時間差があり、保証や保険の代わりではなく、発見までの日数を縮めて保証の外に残る損害を小さくする位置づけです。仕組みは貸す側に異変の知らせが届く、電気データの見守りの紹介ページで確認できます。

まとめ

  1. 個人の保証人は借主の死亡で元本が確定するが、法人の家賃保証はそうではない——どこまで払うかは契約で決まる[1]
  2. 保証期間は「死亡まで」と「明け渡し完了まで」に分かれる——明け渡しまで保証する商品は限られる[2]
  3. 原状回復・残置物・相続人調査の扱いも会社ごとに違う——契約書の保証の範囲で確かめる[2]
  4. 相続人が分からないと保証会社も動けない——残置物の処分は相続人の同意か相続財産清算人が前提[2]
  5. 認定家賃債務保証業者は保証の対象を公示する——選び直すときの比較材料になる[3][4]

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