2026.10.30

見守り協定とは|管理会社・不動産会社が自治体と結ぶとき、約束することと異変に気づいたあとの連絡先

約2,800文字読了目安 6分

自治体の担当課から「高齢者見守り協定を結んでもらえないか」と声をかけられた——単身高齢者を受け入れる管理会社・不動産会社に、こうした打診が届くことがあります。本記事では、協定で何を約束し、気づいたあと誰に知らせるのか、協定では届かないことは何かを、自治体の要綱・手引きをもとに整理します。

見守り協定とは|日常業務で気づいた異変を知らせる約束

見守り協定は、自治体(または社会福祉協議会)と、日頃から住民と接する民間事業者とが結ぶ取り決めです。普段の仕事のなかで「いつもと違う」と気づいたときに自治体へ連絡することを約束します。

世田谷区は締結事業者の募集案内で、気づいてほしい異変の例として「洗濯物が干しっぱなし」「ポストが新聞や郵便物でいっぱい」「連絡が取れない」などを挙げ、店舗での接客時や配達等での訪問時に気づいた異変を知らせるよう求めています[1]。新聞配達の協定は新聞配達の見守りの記事で取り上げました。

管理会社・不動産会社も見守り協定を結べるのか

結べます。不動産の事業者が当事者になっている例は、少なくとも次のように公表されています。

ただし対象外になる事業者もあります。世田谷区は「高齢者の見守り及び介護サービスを主たる事業として営む事業者並びに医療機関」を除くとしています[1]。東京都の協定も、介護保険事業所など高齢者の生活支援を業務とする事業者は対象外です[2]。本業のついでに気づく「人の目」を増やす仕組みです。

協定を結ぶと何をするのか|求められるのは「緩やかな見守り」

求められることは、自治体の案内を見るかぎり大きな負担ではありません。世田谷区は次の3つを挙げています[1]。

  1. 日常業務の中で、高齢者の異変に気がついたときは区に連絡する
  2. 見守りの情報共有を目的とした連絡協議会(年1回程度)に出席する
  3. その他、業務に支障のない範囲内で地域の高齢者の見守りに協力する

大阪府枚方市の手引きも、協力事業者の役割を「さりげない見守りと異変の早期発見」としとしています。事業者から協定をやめたいときは辞退届を出せば解除できます[5]。

管理会社なら、定期巡回・清掃・設備点検・家賃の入金確認など、すでにある業務が「気づく場面」になります。社内では「巡回で何を見て、誰が電話するか」を決めておけば足ります。何を兆しとみなすかは孤独死の前兆の記事にまとめています。

異変に気づいたら、どこへ知らせるのか|窓口の受付時間に注意

連絡先は自治体ごとに決まっています。世田谷区は区とあんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)が受ける形です[1]。

貸す側が気をつけたいのは、協定の窓口がいつ電話を受けるかです。枚方市の手引きは、生命や身体の危険など緊急性があると感じた場合は迷わず警察(110番)・消防(119番)に連絡し、緊急性が無いと判断した場合は市役所の担当課に相談するよう求めています。その担当課の電話は「月~金曜日 午前9時~午後5時30分」の対応です[5]。

協定の窓口は平日の日中に「気になる人がいる」と伝える先で、夜間・休日に異臭や応答の無さに気づいたら110番・119番が先です。部屋に入るかどうかの判断と手順は、安否確認の立ち入りの記事で整理しています。

入居者の情報を自治体に伝えてよいのか

入居者の氏名や部屋番号を伝えることは、個人データの第三者提供にあたりえます。個人情報保護法第27条は本人の同意のない第三者提供を原則として禁じ、例外として「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」を挙げています[6]。倒れているかもしれない場面の連絡は、この例外で考えます。

平時に名簿を渡して見守りを頼む使い方は、本人の同意が前提です。鳥取県の協定では、見守りを希望する入居者本人が同意書に氏名・生年月日・住所・連絡先・見守りを希望する理由を書いて県に出し、情報が地区の民生委員・児童委員等に提供されます。同意書にはチラシを配った不動産事業者の名前の欄があり、入居の場面で不動産事業者が案内役を担います[7]。民生委員との連携のしかたは民生委員の記事も参考になります。

見守り協定で届かないこと|気づけるのは「訪ねたとき」だけ

見守り協定は地域の目を増やせますが、気づけるのは事業者がその部屋の前を通ったとき・訪ねたときに限られます。枚方市の手引きが挙げる例も、新聞や郵便物がたまっている、雨戸やカーテンが何日も閉まったまま、夜になっても電気がつかないなど外から見える変化です[5]。

協定は「気づいたら知らせる」約束で、気づく頻度そのものを上げる仕組みではありません。R65が提供している見守りは、部屋全体の電気の使い方の変化で異変に気づく方式で、室内に機器を付けたり入居者が操作したりする必要がありません。普段との比較で判断するため知らせまでに時間差があり、協定や巡回の代わりではなく、そのあいだを埋める位置づけです(見守りサービスのデメリットの記事)。仕組みは巡回のあいだも貸す側に知らせが届く、電気データの見守りの紹介ページで確認できます。

まとめ

  1. 見守り協定は、日常業務で気づいた異変を自治体へ知らせる約束——新しい訪問を増やす約束ではない[1][5]
  2. 不動産の事業者も協定を結んでいる——東京都の協定、鳥取県の賃貸住宅あんしん見守り協定、西宮市の管理会社の例がある[2][3][4]
  3. 協定の窓口は平日の日中が中心——緊急性があれば110番・119番が先[5]
  4. 平時に入居者の情報を渡すなら本人の同意が前提——緊急時の連絡は個人情報保護法第27条の例外で考える[6][7]
  5. 協定で気づけるのは訪ねたときだけ——巡回のあいだを埋める手段を別に考える

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