2026.11.06

分譲マンションで入居者が孤独死したら|建物の管理会社と部屋の管理会社は別——区分所有オーナーが確かめる連絡・立入り・費用

約2,700文字読了目安 6分

分譲マンションの1室を、単身の高齢者に貸している。建物全体は管理組合が管理会社に委託して管理し、部屋の賃貸は自分か別の賃貸管理会社が見ている——この形では、1棟まるごとの賃貸と違い、建物を管理する側と部屋を貸す側が別になります。孤独死が起きたとき、誰に連絡が入り、誰が部屋に入れて、費用はどこで分かれるのか。本記事では、国土交通省のマンション標準管理規約(令和7年10月改正)と区分所有法をもとに整理します。実際の扱いは、各マンションの管理規約で確かめてください。

分譲マンションの孤独死は、連絡が「建物」と「部屋」の2系統から来る

分譲マンションの居住者は高齢化しています。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、世帯主が70歳以上の割合は25.9%で、1984年(昭和59年)以前に完成したマンションでは55.9%でした。賃貸に出されている住戸のあるマンションの割合も77.8%に上ります[1]。

異臭や郵便物のたまり具合といった話は、同じ建物の住人や管理員を通じて、まず建物の管理会社(管理組合の委託先)に寄せられやすく、そこから区分所有者であるオーナー、さらに部屋の賃貸管理会社へと伝わります。建物側が部屋の借り手の連絡先を知らなければ、この伝達が止まります。

標準管理規約は、住戸を貸すときに借り手から管理組合へ、専有部分を借りた旨の届出を出させることを区分所有者に求めています(第19条第3項)[2]。また理事長が作る居住者名簿は、賃借人を含む現に住んでいる人の氏名や連絡先を載せるもので、コメントでは災害時の避難支援や安否の確認のために、自ら避難することが難しい高齢者などを事前に把握しておくことが望ましいとしています(第31条の2関係)[2]。

管理組合や建物の管理会社は、部屋に入れるのか

標準管理規約第23条には、専有部分への立入りの規定があります。災害や事故が起き、緊急に立ち入らなければ共用部分や他の住戸に重大な影響を与えるおそれがあるときは、理事長が立ち入れる、という定めです[2]。ただしコメントは、この緊急の立入りが認められるのは大規模な水漏れのように、放置すると他の住戸や共用部分に重大な影響が出るおそれがある場合に限られるとしています[2]。

つまりこの規定は建物を守るためのもので、入居者の安否を確かめるための根拠ではありません。合い鍵についてもコメントは、管理組合が各住戸の合い鍵を預かることは考えられるものの、プライバシーの問題があり、個別の事情を踏まえて検討する必要があるとしています[2]。

連絡が取れない入居者の部屋に入るかどうかは、鍵を持つオーナー・賃貸管理会社の側で判断し、警察への相談を先にします。立ち入る前の手順は安否確認で室内に立ち入る前の手順の記事で整理しています。

臭いや汚れが共用部分・隣の住戸に及んだら

発見が遅れると、臭いや体液、害虫が廊下や隣の住戸にまで及ぶことがあります。警察庁によると、令和7年に自宅で亡くなった一人暮らしの65歳以上は58,919人で、このうち死亡から発見までが4日以上だったのは24,096人でした[4]。

区分所有法は、区分所有者に建物の保存に有害な行為その他、区分所有者の共同の利益に反する行為を禁じ、この定めを借り手(占有者)にも準用しています(第6条第1項・第3項)[3]。借り手は建物の使い方について、区分所有者が規約に基づいて負うのと同じ義務を負います(第46条第2項)[3]。

費用の分かれ目は、専有部分か共用部分かです。標準管理規約では、敷地と共用部分の管理は管理組合がその責任と負担で行うとしています(第21条)[2]。部屋の中の特殊清掃や原状回復は、貸主であるオーナーと、亡くなった入居者の相続人との間の話になります。特殊清掃の考え方は特殊清掃の記事で解説しています。

1棟まるごとの賃貸と違い、隣の住戸は別の区分所有者の財産です。オーナーが自分の物件として隣室を直す立場にはないので、影響が出ているときは建物の管理会社を通じて状況を共有し、管理組合と相談しながら進めます。1棟の賃貸で隣の入居者から補償を求められたときの整理は隣人から補償を求められたときの記事にあります。

区分所有オーナーが先に整えておくこと

1. 借用届と居住者名簿の連絡先を最新にする。標準管理規約のコメントは、区分所有権を取得したときの届出書に緊急連絡先の欄を設け、内容は氏名・届出者との関係・電話番号などが考えられるとしています。区分所有者が長期間不在にする場合の届出を定めることも、連絡がつかない事態を避けるうえで有効だとしています(第31条関係)[2]。入居者の緊急連絡先と、部屋の賃貸管理会社の連絡先が建物側に届いているかを確かめます。

2. 建物の管理会社と部屋の管理会社の間に連絡の道を作る。異臭の苦情が管理員に届いたとき、誰に電話するかを決めておきます。

3. 見守りの方式は、管理規約の手続きも含めて選ぶ。標準管理規約では、専有部分の修繕や建物に定着する物件の取付けで、共用部分や他の住戸に影響を与えるおそれのあるものは、あらかじめ理事長に申請して承認を受ける必要があります(第17条)[2]。共用部分に機器を付ける方式は、この手続きの対象になりやすくなります。当社の見守りは部屋全体の電気の使い方の変化で異変に気づく方式で、室内に機器を付けたり入居者が操作したりする必要がありません。普段との比較で判断するため知らせまでに時間差があり、亡くなることを防ぐものではありませんが、発見までの日数を縮める位置づけです。仕組みは貸す側に異変の知らせが届く、電気データの見守りの紹介ページで確認できます。

亡くなったのが住戸の持ち主(区分所有者)自身の場合は、相続人が管理組合へ届け出ることになります。標準管理規約のコメントは、遺産分割に時間がかかって届出が遅れるときに備え、当面の連絡先として相続人の代表者などの連絡先を把握しておくことも考えられるとしています(第31条関係)[2]。

まとめ

  1. 分譲マンションは建物の管理と部屋の賃貸が別——異変の話は建物側から入りやすく、借用届・居住者名簿で連絡先が届いていないと伝わらない[1][2]
  2. 管理組合の立入り規定は、漏水など建物への重大な影響に限られる——安否確認の根拠ではなく、合い鍵を預かるかもマンションごとの判断[2]
  3. 共用部分は管理組合、部屋の中はオーナーと相続人——借り手も区分所有者と同じ使い方の義務を負う[2][3]
  4. 見守りは管理規約の手続きも含めて選ぶ——共用部分に機器を付ける方式は承認が要りやすい。発見が遅いほど影響は広がる[2][4]

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