スマートメーターの交換に大家の許可は要るか|賃貸の入居者が「拒否したい」と言ったら、2028年4月から変わること
「知らないうちに部屋の電気メーターが替わっていた。大家さんは許可したのか」「スマートメーターは断れないのか」——入居者からこうした問い合わせを受ける大家・管理会社は少なくありません。電力データを使った見守りを検討している場合は、入居者がメーターの通信を外したいと言ったときにどうなるかも気になるところです。本記事では、電力の送配電事業者が公表している案内をもとに、交換の進め方、2028年4月から始まる「オプトアウト制度」、見守りへの影響を貸す側の立場で整理します。
賃貸のスマートメーター交換は、送配電事業者が進める
電気メーターを取り付けるのは、地域の一般送配電事業者(いわゆる電力会社の送配電部門)です。東京電力パワーグリッドは、計量法と電気事業法に基づく適正な計量のために電力メーターを取り付ける必要があるとして、スマートメーターへの取替えへの理解を求めています[1]。スマートメーターは、2010年6月閣議決定の第3次エネルギー基本計画などで、原則すべての需要場所に導入するとされてきました[1][3]。
同社の案内では、工事日はチラシの配布などで工事会社から事前に知らせ、工事はメーターの取付場所で行って室内には立ち入らないため、不在のときでも工事をすることがあるとしています。費用は原則としてかからず、停電が必要な場合も事前に知らせたうえで5分程度です[1]。案内の中に、建物の大家や管理会社の承諾を取る手続きは書かれていません。
つまり「勝手に替えられた」と感じる入居者がいても、多くは定められた手順どおりの交換です。問い合わせを受けたら、工事会社の連絡票や検針票を確認し、不審な点があれば地域の送配電事業者に問い合わせるよう案内するとよいでしょう。同社は、社員や工事会社を装った詐欺・悪質な勧誘への注意も呼びかけています[1]。
入居者が「拒否したい」と言ったら|2028年4月から計量器1台44,000円
電磁波などへの不安から、スマートメーターの通信を外したいと考える入居者もいます。送配電事業者各社は、第86回電力・ガス基本政策小委員会(2025年2月28日)で議論された内容に基づき、2028年4月から、事務手数料として計量器ごとに44,000円を負担することで通信機器を取り外す「オプトアウト制度」が始まると案内しています[1][2][3]。
この制度について、東京電力パワーグリッドは次の点も示しています[1]。
- 通信機器を外しても、通信に使う電力はメーターに計量されないため、電気料金は安くならない
- 主要メーカーが旧型の計量器を新たに作っていないことなどから、旧型の計量器へ戻すことはできない
- 計量器の有効期間(検定期間)が満了して取り替えるとき、引き続き通信機器の取り外しを望む場合は、再び事務手数料がかかる
なお、送配電事業者は、スマートメーターの通信が行政機関(総務省)の指針などに基づいて人体や電気機器に影響を及ぼさないよう配慮していると説明しています[1][3]。入居者の不安が健康面にあるときは、まずこの案内を一緒に確かめるのが穏当です。申込みの方法や条件は、地域の送配電事業者の窓口で確認してください。
通信機器を外した部屋では、電力データの見守りは使えない
貸す側にとって見落としやすいのが、見守りへの影響です。スマートメーターは、30分ごとの電気の使用量を通信で送ることで、遠隔での検針などを可能にしています[1]。電力データを使った見守りは、この30分ごとの使用量が届くことを前提に、いつもと違う電気の使われ方を見つける仕組みです(仕組みと本人同意の扱いはスマートメーター見守りの仕組みの記事で解説しています)。
通信機器を外した部屋では、使用量が通信で届かなくなるため、電力データの見守りは使えなくなります。単身の高齢入居者がいる物件で電力データの見守りを使う予定、または使っているなら、入居者から取り外しの相談を受けた時点で見守りの方式を見直す必要があることを伝えておきましょう。逆に言えば、通信が生きている部屋では、新しい機器を置かずにすでに付いているスマートメーターの電力データで毎日の暮らしの変化に気づく見守りを始められます。
入居者に説明するときに押さえる3点
入居者や家族からスマートメーターについて聞かれたときは、次の3点を伝えると話が整理しやすくなります。
- 交換は送配電事業者の手配で、費用は原則かからない——室内には立ち入らず、不在でも工事することがある[1]
- 通信を外すのは2028年4月から有料——計量器1台44,000円で、電気料金は下がらず、検定期間満了の取替えのたびに再び手数料がかかる[1][2]
- 見守りを使っている部屋では、通信を外すと見守りが止まる——外す前に、管理会社や家族と代わりの方式を相談してほしい
見守りを導入するときは、知らせを受けたあと誰が部屋を訪ねるかを先に決めておくことが大切です。決め方は賃貸に見守りサービスを導入するときの記事にまとめています。
まとめ
- 交換は送配電事業者が進める——計量法・電気事業法に基づく取付けで、案内に大家の承諾手続きはない
- オプトアウトは2028年4月から計量器1台44,000円——旧型には戻せず、電気料金も下がらない
- 通信を外した部屋では電力データの見守りは使えない——相談を受けたら見守りの方式を見直す
- 入居者への説明は3点に絞る——費用・有料化・見守りへの影響