水道スマートメーターの見守りは賃貸で使えるか|普及率0.06%、集合住宅は「部屋ごとの水道メーター」が分かれ目
「水道の使用量で親の様子が分かるサービスがあると聞いた。この部屋でも使えますか」——単身の高齢入居者の家族から、こうした相談を受けることがあります。水道スマートメーターを使った見守りは、自治体や水道事業者が実証や導入を進めている仕組みです。ただ、賃貸の管理会社・大家にとっては「地域で導入されているか」と「建物の水道メーターの方式」の2つで、使えるかどうかが決まります。本記事では、その確かめ方を整理します。
水道スマートメーターの見守りとは|水の使われ方で異変を知らせる
水道スマートメーターは、検針員が現地で数字を読む代わりに、使用量を通信で水道事業者に送るメーターです。国土交通省の資料では、得られるデータの使い道として検針の自動化や宅内漏水の検知と並んで、「高齢者の見守り」(高齢者等の安否確認)が挙げられています[1]。
具体例として、東京都水道局が先行実装で提供している見守り機能では、アプリに登録して「一定期間の継続使用」「一定期間の不使用」「一定水量の使いすぎ」といった条件を設定し、条件に合うと翌朝8時頃に、事前に登録した家族や友人など最大5件のメールアドレスへ通知が届きます[2]。何日も水が使われていない、逆に水が出しっぱなしになっている、という変化から異変に気づく考え方です。
水道スマートメーターの普及率は0.06%——地域によっては使えない
国土交通省の調査では、スマートメーターを導入している水道事業者は59事業者(約1.6%)、約3.3万台で、普及率は0.06%にとどまっています(令和4年度末現在。普及率は導入戸数÷全国の給水世帯数)[1]。導入している事業者でも、多くは一部の地域での試験的な導入です。
導入が進んでいる地域もあります。東京都水道局は令和4〜6年度に約13万個を先行導入し、令和7〜10年度に約100万個を設置して、2030年代の全戸導入を目指すとしています[3]。とはいえ、いま管理している物件の部屋に水道スマートメーターが付いているかは、地域と時期によって大きく異なります。
また、水道メーターは計量法により8年の検定有効期間が定められており[4]、水道事業者はその周期で取り替えを行います。スマートメーターへの切り替えも、基本的には水道事業者の導入計画に沿って進みます。物件で使えるかどうかは、まず地域の水道事業者に導入予定を問い合わせるのが確実です。
賃貸の集合住宅で使えるかは「部屋ごとの水道メーター」で決まる
集合住宅では、水道の契約の形が建物によって違います。京都市上下水道局の例では、部屋ごとに水道メーターを付けて水道局が各戸を検針し、入居者から直接料金を徴収する方式と、建物全体の使用量をもとに計算する方式があり、前者に切り替えるには3階建以上であること、入居者全員の同意、各戸にメーターを設置できる構造などの条件があります[5]。
水道局の見守りは、水道局が持っている使用量データを使う仕組みです。建物全体の親メーターで水道局と契約していて、部屋ごとの使用量を水道局が把握していない物件では、水道局の見守りを部屋単位で使うことはできません。まずは自分の物件がどちらの方式かを、管理している水道の契約で確かめてください。
部屋ごとのメーターがあっても、通信が安定しないことがあります。東京都水道局の検証では、通信成功率は約98%で推移する一方、マンションの高層階や内廊下、鉄製の蓋が付いたメーターボックスなどで電波が不安定になる例が確認されています[2]。
通知は翌朝——知らせを受けたあと誰が行くかは別に決める
水道の見守りで知らせが届く先は、登録した家族や知人です。先の例のとおり通知は翌朝にまとめて届くため、その日のうちの異変にすぐ気づく仕組みではありません[2]。そして、知らせを受けた家族が遠方に住んでいれば、部屋まで様子を見に行けるのは、結局のところ近くにいる人です。
管理会社・大家としては、どの方式の見守りを使う場合でも、異変の知らせのあと誰が部屋まで行くのかを入居時に決めておくことが欠かせません。この順番の考え方は賃貸に見守りサービスを導入するときの記事で、管理会社としての孤独死対策の全体像は管理会社の孤独死対策の記事でまとめています。
賃貸で見守りを始めるなら、電気のスマートメーターという選択肢
電気のスマートメーターは、30分ごとの電力使用量を計測して遠隔で取得できる装置で、家庭などの低圧部門では日本全体で2024年度末までに導入を完了する計画とされてきました[6]。水道と比べると、地域による差がはるかに小さいのが特徴です。部屋ごとに電気の契約がある物件なら、その部屋の使用量をもとに見守ることができます(建物で電気を一括受電している場合は事情が異なるため、個別に確認が必要です)。
水道局の事業や建物の水道メーターの方式に左右されずに始めたい場合は、工事や室内カメラなしで、部屋の電気の使われ方から異変に気づく見守りも検討してみてください。電気の使われ方で見守る仕組みそのものは、スマートメーター見守りの記事で詳しく解説しています。
まとめ
- 水道スマートメーターの見守り——水の不使用・使いすぎなどの変化を、登録した家族にメールで知らせる
- 普及率は0.06%——導入している水道事業者は約1.6%(令和4年度末)。地域と時期で使えるかが決まる
- 集合住宅は水道の契約方式を確認——建物全体の親メーターで契約している物件では部屋単位で使えない
- 通知は翌朝——知らせのあと誰が部屋まで行くかは入居時に決めておく
- 電気のスマートメーターは地域差が小さい——部屋ごとに電気の契約があれば見守りに使える